嘘
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このブログは、無念のまま亡くなった姉の病気を未然に防ぐため、過去に戻ることを決意し、いろいろ試して過去に戻るまでの記録です。
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2019年6月2日
姉の病気がわかってから亡くなるまでの間、何度か私だけが主治医に呼び出され、その都度姉に残された日が少ないことを告げられました。私も諦めが悪いので、その都度主治医に何とかしてくれと泣きついていました。
そのせいもあって姉の逝去後に義兄や父が病院に挨拶に行った際、主治医や看護婦さんから「妹さんは大丈夫か」などと心配されていたようです。
自分でも姉が亡くなったらどうなるのかと思っていたのですが、意外と普通に淡々と過ごしています。
淡々と過ごす中でも事ある毎に辛い日々を思い出します。ただ人がいるところでは考え続けないようにしてやり過ごし、また淡々とした生活に戻ります。
でも休みの日はいけませんね。今日カーラジオから流れてきた曲を聴いて、最も辛かった瞬間を鮮明に思い出して止めることができませんでした。
それは姉の入院の付き添いから一時的に自宅に戻る車の中で、主治医から大事な話があるからすぐに病院に戻るよう電話がかかってきたときに流れていた曲でした。
主治医の話は聞く前から想像はついていました。それまで何度も良くない話は聞かされていたので、ついに最期通告かと覚悟した時でした。
病院に戻り、姉に見つからないように主治医の元に行き説明を受けました。予想通りもう姉に施す治療はない、との話でした。
姉は自分の病気が深刻なことは知っていましたが、望みは捨てていませんでした。私もそんな姉の意志を尊重して、それまで主治医には姉の希望を打ち砕かないようにお願いしていました。
しかしその日、主治医は残りの日々を思い残すことがないようにもう真実を告げてはどうかと言いました。変に希望を持って無理をすれば余計に思い出を残す時間がなくなるからと。
私はそれを頑なに断り、主治医に「一時的に治療を中断するけれど、体力が戻ったら治療を再開しましょうと言って欲しい」と、もうひと芝居打ってくれるようお願いしました。主治医はあなたのエゴでお姉さんに無理を続けさせるのか、と呆れたように言いましたが、渋々了承してくれました。
その後何事もなかったかのように病室に戻り、姉と共に初めて聞くように主治医の説明を受けました。主治医は上手く私の希望通り演じてくれました。
姉は少しガッカリしていましたが、先生が希望があるといっている間は諦めずに頑張る、と私に言いました。私もあの先生は嘘をつかないからきっと可能性はあるよ、と励ましました。
それから姉の治療が再開することはありませんでした。一向に良くならない体調に、姉は何を思っていたのか今は知る由もありません。最期まで諦めなかったがために何の準備もしなかった姉は、私のせいで無念な想いを抱えたまま旅立ったのでしょうか。
今もしもどこか違う世界で姉が私の事を見ていたら、あのときの数々の嘘や企みがバレてるんでしょうね。姉はこんな私を許してくれるでしょうか。
その答えを知ったところで私が過去に戻りたい気持ちに揺るぎはないのですが。