今思えば
明晰夢の進展がないので明晰夢にまつわる思い出話を。
姉が亡くなる一週間ほど前のことです。
すでに入院中でしたが、夜寝る前には強い痛みを抑えるために麻薬系の鎮痛剤と睡眠薬を服用していました。
その夜は私が泊まりで付き添いをしていて、なお痛みを訴える姉を何とかしたくて看護師さんに処置を相談していました。
入院中、ほとんどの看護師さんはすごく親身に対応してくれていたのですが、1名だけ、痛いと言えば「また?我慢してください」、要望を言えば「人がいないから自分でやって」など、病院の事情があるのはわかるけど言い方ってもんがあるだろ!という看護師さんがいました。仮にAさんとしましょう。
その日はAさんが担当だったのです。
それまでは私も姉に余計なストレスを増やすのが嫌だったのでAさんを悪くいうことはなかったのですが、その日もAさんに辛く当たられ、姉も言いたいことを我慢するようになってしまったので、つい「なんやねんあいつ!病院に文句言ったろうか」と呟いてしまいまして。
姉はもちろん聞こえていたと思いますが、特にその言葉に対して何も言うことはなく、ほどなく睡眠薬が効いてきたようでそのまま眠りにつきました。
2時間後くらいにふと目を覚ました姉は、ベッド脇の私に「大変なことになってるよ」と言いました。
何のことかと尋ねたら、どうも私がAさんの悪口をSNSに書き込んだことで病院が炎上し、Aさんが退職に追い込まれそうになっている、と。
もちろんSNSに悪口は書き込んでいませんし、そもそもSNSもやっていないしで、「何にもしてないよ。夢じゃない?」と答えると、「ホントに?」と不思議そうに何度も確認されました。
それから姉はまた痛みを訴え、強い鎮痛剤を処方してもらい再び眠りにつきました。
これ以降、亡くなるまで姉の意識は朦朧としたままでした。
これが最後のまともな会話となったのです。
今思えば、この時姉が見た夢は明晰夢で、そしてこの時その明晰夢の中の世界に行ってしまったのかも知れません。
今ごろ姉は、Aさんが病院から追いやられた世界で快適に過ごしてるんじゃないかな。
私ももうすぐ行くから待っててね。
(あ、遺書みたいになっちゃった)
※ちなみにAさんのことはSNSには書き込んでいませんが、病院の投書ポストには投書しておきました
その後どうなったかは知りません